角膜カンファランス2014 コメディカルプログラム口演発表
- 開催日:2014年1月30日~2月1日
- 開催場所:沖縄コンベンションセンター
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演題 アイバンクごとのドナー比較(年齢、性別、内皮細胞数等) 演者 入江真理(富山県アイバンク)
コメディカルプログラム第一部「アイバンクドナー比較」にて6アイバンク(兵庫アイバンク・福井県アイバンク・静岡県アイバンク・沖縄県アイバンク・東京歯科大学市川総合病院角膜センターアイバンク・富山県アイバンク)のドナー比較を行った際の発表内容です。
発表スライド
【対象および方法】
2009年から2013年までの5年間の富山県アイバンクにおけるドナー情報数、献眼者数、ドナーの性別・年齢、献眼数、角膜使用状況を、眼球摘出記録等を元に調査した。
【調査結果】
ドナー情報数は2009年から2011年の間は平均18人だったが、ここ2年で飛躍的に増加した。特に2012年は前年度の倍以上の44人の情報を頂いた。ドナー数は2012年度は前年度の倍の32人の方から献眼を頂いた。
ドナーの性別について、2010年以外は男性が多く、5年間のドナーの性別割合の平均は、男性が61%、女性が39%であった。
ドナーの年齢平均年令は、2009年71歳、2010年76歳、2011年84歳、2012年69歳、2013年75歳であった。 5年間での最低年齢は6歳未満、最高年齢は103歳で、平均年齢は75歳だった。
年別のドナー年齢を見ると いずれの年も70歳代以上の高齢者の提供が多かった。特に2013年には、10歳未満のドナーから103歳のドナーまで幅広い年齢層からの提供があった。
角膜の移植状況について、当バンクでは新鮮眼で移植できる角膜は全て新鮮眼で移植する。もし提供後に感染症等が確認できた場合は破棄している。 5年間で新鮮眼で移植したのは、81.6%だった。
【バンク体制について】
コーディネーター在籍数は2名で、24時間365日体制で対応している。いずれも日本アイバンク協会スタッフ認定並びに日本組織移植学会認定のコーディネーターの資格を取得している。 強角膜片作成並びに内皮細胞計測はコーディネーターが行い、 スリット評価については眼科医師が行っている。 保存液の培養検査はアイバンクでは実施していない。
【活動の特徴について】
当バンクは、1991年12月に全国で46番目の財団法人として設立した。翌年6月に厚生省(現厚生労働省)より眼球提供のあっせん業の許可をうけた。富山県は日本の中心に位置し、北陸地方に属していて日本海に面しています。 富山大学医学部眼科内に事務局を構えており、眼科教授は林篤志先生で、専門は角膜ではないがアイバンク運営に大変ご理解とご協力を頂いている。角膜担当は宮腰晃央先生という若い先生お一人で、現在頑張ってくださっている。
眼科医局の一部屋を借り、クリーンベンチ・薬用保冷庫・オートクレープ・遠心分離機・スペキュラーマイクロスコープ・手持ちスリット等の機器を整備している。この部屋で摘出後の保存作業などのすべての作業を行っている。
1991年の財団設立から現在に至るまで県内のライオンズクラブが資金調達並びに運営の中心となって事業を行っている。 一般への献眼登録などの啓発活動も、県内のライオンズクラブの献血活動に合わせたりして実施している。
2名のコーディネーターが、ドナー情報から摘出のサポート、保存作業、内皮細胞数の測定、斡旋に至るまでの一連のコーディネーター業務を行っている。
2006年からは、県内の公的病院等に設置された院内移植コーディネーターと連携をとり、ドナーやドナー家族の献眼の意思を尊重できるよう、提供時のマニュアルの作成や院内啓発活動並びにドナー発生時の献眼連絡体制の整備を行っている。また、2ヶ月に1回富山県移植推進財団と共催にて実施している院内移植コーディネーター連絡会において、献眼事例の症例報告を行い、献眼についての知識の向上を図っている。
【まとめ】
2009年から2013年の5年間におけるドナー情報統計を調査した結果、ドナー数は増加傾向にあった。 ライオンズクラブの強力な支援体制のもと、院内コーディネーターはじめ、医療機関と連携体制をとっており、アイバンクコーディネーターがドナー対応を行い、ドナー増加につとめてきた。
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